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伝統工芸「熊野筆」
熊野の
 熊野の筆づくりは、今から約180年以上も昔、江戸時代の末期から始まりました。
当時、農民の少なかった熊野では農民の多くが農閑期には出稼ぎに出ていました。行き先は主に紀州(和歌山県)熊野地方や大和(奈良県)吉野地方。出稼ぎを終えると奈良の都に立ち寄り筆や墨を仕入れ、それを元に行商しながら熊野へ戻ることを常としていました。これが熊野と筆の結びつきのきっかけです。

 ちょうどその頃、井上治平という若者が、広島藩の御用筆司(ふでし)から筆づくりの技術を学んで村に帰ってきました。同じ頃、乙丸常太という人が摂津の国(兵庫県)有馬で筆づくりの技術を学び帰郷しました。このようにして、他の地で筆づくりを学んだ者達が村に戻り、その技術を広めたことが熊野の筆づくりの始まりと言われています。新たな産業の開拓を求めていた熊野の地で、筆づくりは新しい産業として開花し、村人達の努力と情熱によって地域産業としての基礎を築いてきました。

その優れた技術は180余年を経た今もなお受け継がれ、現在では「毛筆」を始め、その技術活かした「画筆(洋画用・日本画用)」や「化粧用筆」なども全国一のシェアを占め、欧米など海外でも多く愛用され高い評価を得ています。
『熊野町 榊山神社 筆塚』
年に一度の筆まつりでは筆供養も行われます。
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